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エンチャント文字盤のつくりかた

第一回 ファイル操作だけでつくる方法 その3

作成したVOCA

前回のその2では、表示される画像や音声を変更する方法について説明しました。これを応用して上下左右四カ所の場所に、五種類の画像と音声を自由に配置できるようになったでしょうか? ファイルの名前を変更するだけでこのようなこともできるのです。
また練習問題はいかがでしたか? 正解は、『kotoba5.gif を kotoba4.gif に、kotoba5.mp3 をkotoba4.mp3に変更する。』でした。上の図のようになります。むつかしかったですか?

6 パソコンのちょっとしたコツ

ここまでいくらかパソコンを操作してもらいましたので、ここでパソコン作業について少しまとめておきましょう。

まずパソコンの仕事ではまず正確さが必要です。ちょっとしたミスでもうまく動きません。これはもう皆さんご存じのとおりです。

次に、パソコン操作は教科書などでの勉強だけでは不十分です。 これは水泳の本を一生懸命勉強しても泳げるようにならないのと同じです。 まず学んだことを身体を動かして練習し自分で納得できるようになること大切です。

さらに基本と知識に続いて独自性とアイデアが必要で、これらをバランスよく積み上げて形にしていくことが必要です。基本基礎だけとかアイデアだけではエジソンも困ります。手も頭もともに働かせていくことが大切です。

これらを丸暗記する必要はあまりありません。ただどんな仕組みで何ができるのかという仕組みの理解といくつかのキーワードは覚える必要があります。忘れたらこれを手がかりにして調べればいいのです。それに全部覚えるのはとても無理です。言い換えるとものごとに対して大きく網をかけるような理解と細かいところをきちんと詰めるという性質の異なる仕事の両方が必要です。

今時の小学校ではプログラミングについて教えていると聞きました。上にも書きましたように、小さな間違いも許さないガチガチの部分と自由奔放常識破りアイデア競争みたいな部分がプログラミングにはあります。テストのための暗記と技能習得に力を入れすぎると、『算数嫌い』のようなことが起きるかもしれません。実際の授業ではどんな工夫がされているのでしょうか。


さてここまでプログラムには手を付けずにファイル操作のみでエンチャント文字盤を作る方法を説明してきました。プログラミングが苦手でも、プログラミングをしなくてもこのようにかなりのことができます。この文章をお読みの方の多くはプログラミング習得が主な目的ではないと思います。そのような方々もエンチャント文字盤をいろいろ変更できますし、エンチャント文字盤を存分につかっていただきたいと考えています。
一般にファイル操作といえば、ファイルの消去、ファイルのコピー、ファイルの名前変更をいいます。今回はこれらの方法を使った可能性を一気に広げます。

7 画像ファイルを手に入れる方法

ここまで5種類の画像と音声を自由に使い分ける方法について説明しました。しかし多くの人にとって5種類では決して十分ではありませんね。もっといろいろな画像がたくさんほしいと思う人がたくさんおられるでしょう。
実はそのようなものがすでに存在しています。ご紹介します。

視覚シンボルで楽々コミュニケーション

視覚シンボルで楽々コミュニケーション
障害者の暮らしに役立つシンボル1000
ドロップレット・プロジェクト編
エンパワメント研究所発行 定価1500円+税

この本の付属cd-romには、約1000種類のシンボル画像が入っています。前回使用した5種類のシンボルもこのcd-romに含まれています。これらの画像はもちろん自由に使えます。

私が購入したとき、楽天やアマゾンではなぜか品切れだったのに、スペース96ではちゃんと普通に取り扱っていました。出版業界にはなにか事情があるようです。

このcd-romの画像データをコピーして、ファイル名を変更し、これまで説明した方法でエンチャント文字盤に使用できます。

何しろ1000種類です。たくさんあります。これらを描いたひとがいてこれらを編集出版したひともいるのです。実に大したものです。というわけでこれらを皆さんが購入しても、使い切るにはどなたでもそれなりの年月がかかると思います。何十年もかかる人もいるかもしれません。どちらにせよまあ当分は大丈夫だと思います。

もし経済的に事情がある場合は、ドロップレットプロジェクトから画像データを入手することもできます。ご検討ください。詳しくは、 http://droplet.ddo.jp/をご覧ください。

7.5 画像ファイルを手に入れる方法2 追記2018/04/18

今年の初め、エンチャント文字盤に使用できる高品質の画像がさらに増えましたのでご紹介します。

視覚シンボルで楽々コミュニケーション2

視覚シンボルで楽々コミュニケーション
障害者の暮らしに役立つシンボルNew1000 おかわり2
ドロップレット・プロジェクト編
エンパワメント研究所発行 定価1500円+税

上で紹介した視覚シンボルで楽々コミュニケーションの続編です。 さらに約1000種類のシンボル画像が入手でき、自由に使えます。使い方は前作と全く同じです。

本作に収録されているのは、前作が発表されたあとにつくられたシンボルで、前作を補完、発展、充実させた内容になっています。前作と合わせて利用するとよりパワフルなコミュニケーション支援が期待されます。

一例を挙げると食品名が増えました。前作では「パン」だけでしたが、本作では食パンなど11種類が追加されました。これにより、あのパンとこのパンどちらがすきですか?といった話ができるようになります。

前作の紹介で1000種類もあれば当分大丈夫などと書いていますが、現実はさらに先を進んでいるようです。この調子なら『おかわり三杯目』もあるかもしれません。

8 音声ファイルをマイクで録音して作る方法

多くのノートパソコンにはマイクがついています。または市販のマイクを接続して録音もできます。録音ソフトを使うと言葉のファイルをつくることができます。この方法の特徴はどんな声や音でも音声ファイルが作れることです。男の声、女の声、短い言葉、長い言葉、日本語、外国語、方言、動物の声、物音などすべてが可能です。実に限りなく音声ファイルが作れます。この方法では、録音時の騒音が混じったり、話し手の声により出来栄えは変わります。しかし場合によって生に近い人の声の方が好ましいこともあります。

一番手軽な録音ソフトはWindowsに標準でついている『サウンドレコーダー』です。これで作ったWMA形式の音声ファイルを『午後のこ~だ』を使い、mp3形式の音声ファイルに変換して使用します。また『午後のこ~だ』で録音することもできます。

サウンドレコーダーの使い方 http://michisugara.jp/archives/2013/sound_recorder.html

午後のこ~だの入手と使い方 http://pc.casey.jp/archives/153890817

PC上の音声を録音出来るおすすめフリーソフト9選 http://aviutl.info/pc-rokuonn/

マイクやソフトをそろえて頑張れば、100や200の音声ファイルが作れるでしょう。

さてここまでで1000種類のシンボル画像ファイルとかなり大量の音声ファイルを手に入れる方法について説明しました。 これだけ大量の選択肢を自由に組み合わせると 実に多種多様なエンチャント文字盤を自由に作って使える様になります。 プログラミングを知らなくても、プログラミングには手をつけなくてもこれができるのです。


使う人に合った福祉用具を選ぶためには、あらかじめ何種類か用意しておいて色々試してもらうのが大切です。役に立たない、使用できないものは排除し、使えるものの中からよりよいものを選んでいきます。その結果、『候補1と候補2と候補3の中間がほしい』といった話になれば選択がより進んできたと考えることができます。 反対にこれかあれのどちらかしかない、あるいはこれしかないという場合は、選択はあまり進んでいない、選択がかなり貧しい状況にあると見なすことができます。

この貧しさから脱するための第一の条件は選択肢を増やすこと、第二の条件はその選択肢から自由に選べることだと思います。

ファイルをコピーしたり、削除したり、名前を変更したりのファイル操作であなたもこれができるようになります。

次回は、もっともっと先までいきます。

つづく


2018/04/18 7.5 画像ファイルを手に入れる方法2追記
2017/06/23 公開

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