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新しい mouse を探して 前半

eviacam のトップ画面

0 はじめに

パソコンの主な入力装置というと、キーボードとマウスです。そして不自由のためにこれらがうまく使えなくて困ってしまう人たちがいます。

AT2EDなどでは、普通のキーボードやマウスではうまくいかない人たちのため道具がたくさん紹介されています。また皆さんがお使いのパソコンには、『ユニバーサルアクセス』と呼ばれる、不自由な人たちの助けになるソフトウエアが入っています。なんて親切なことだろうと感心する人もいるかもしれません。しかしこれがないパソコンはアメリカの公的機関には採用されない事情があるのです。

これらは昔の人たちの苦労と、多くの人々のおかげでいまも作られ、売られ、使われているのです。現在はこれらを使ってかつての苦労を避けることができるのです。ところがこのようなものがあることを、『全然知らなかった』『だれも教えてくれなかった』という話を聞くことがあります。

この話を患者さんから聞くこともあります。無理のないことです。学校でも一般社会でも扱うことのない話題です。マスコミで取り上げられることも滅多にありません。こんな場合はリハビリテーション関係者におたずねください。

またこの話を訓練士さんから聞くこともあります。この分野を扱わない学校だったのでしょうか。もしかしたら習ったことを忘れてしまったのでしょうか。これではお仕事で困ったことになるかもしれません。

生きていく上で必要なことを教えるのが教育だと言いますが、全部教わるのも、また教えるのも現実にはずいぶん無理のあることです。さらに学校で習ったことはどんどん古くなり時代遅れになってきます。古い時代の資格や知識で一生やっていくなんてもう昔話の幻です。どんどん勉強し続けないとおちこぼれてしまいます。

こんな時に必要なのは、必要なものを自分で手に入れる、必要なことを自分で学ぶ方法と技能を勉強することだと思うのですが、みなさんいかがでしょうか。しかし自分で勝手に自由に勉強するなんてできない、だれかに教えてもらわないとだめという自立できていない人が思いの外多いようです。でも社会人は自分で勉強できないとずいぶん困ると思うのです。

1 マウス探検

さて話を元に戻します。キーボードとマウスです。パソコン入力のための道具です。これで苦労する人が多いですが、これら二つには大きな違いがあります。

まずキーボードは使用する言語と深い関係があります。言語の数だけ種類があります。自分の言語と違うキーボードでは非常に苦労することもあります。その苦労を回避するために日本語をローマ字入力している訳です。もし不自由を持つ人のための非常に優れたキーボードが作られたとしてもそのまま日本で使えるとは限りません。言葉の壁があるのです。

ところがマウスはちがいます。万国共通です。このマウスはフランス風だ。などということはありません。つまり世界のどこかの誰かがすてきなマウスを発明したら、それを日本にそのまま持ってきてもあっさり使えることが多いのです。また不自由な人がパソコンで体験する苦労も万国共通です。だから世界のあちこちでマウスの改良に取り組んでいる人がたくさんいるのです。このような理由でキーボードよりもマウスの改良の方が出現しやすいといえます。(個人的な感想です)

このような理由でときどき新しいものを探してまわりまわるようにしています。

どうやって調べるか?

秋葉原へ出かけてこれと言った店を見て回るようなことはもちろんしません。インターネットです。そこで最近のこころみについてすこし紹介したいと思います。

2 インターネットをこんな風につかいます

不自由を持つ人のためのマウスは日本語では代替マウスと言います。しかしキーワードが『代替マウス』では日本語のページしかhitしません。今回はもっと広く調べようと思いましたがしかし、最初のキーワードとしてはいいでしょう。

検索してみると、このキーワードで国リハの伊藤さんの古い英文発表がhitしました。そこには mouse emulator という英単語が使われていました。英文キーワードをゲットしました。

これをgoogleの検索窓に入力すると、自動的に for disabled とsuggestされました。サジェストとは検索サービスで キーワード を入力した時、そのキーワードと一緒に検索される可能性が高い キーワード が自動的に表示される機能です。 for disabled つまり『障害のある人のための』ですから、今回の目標に近づいています。このようにうまく使うと google が仕事を手伝ってくれて助かります。

このあと、accessibility や universal access や assistive technology などのキーワードを入れ替えしてめぼしい内容さがしていくつかのサイトを巡りました。何十件もあれこれ見て回っていると、facial mouse とか viacam とかいうおもしろそうな単語を見かけるようになります。

このあたりでこれらの言葉で検索した結果 Enable Viacam というサイトをみつけました。(このページのトップです。ビンゴ!)顔認識マウスを開発しているサイトでした。私も初めてここに来ました。

3 Enable Viacam

このサイトは、カメラで撮影した顔を認識して顔の向きに応じてマウスポインタを動かすソフトを開発し紹介をしていました。数年前に話題になった face mouse や以前紹介したカメラマウスと同じ系統になります。

しかしDownload and installation のところには、Windows版と並んで、Ubuntu版 とAndroid版がありました。この種のソフトでUbuntu版とAndroid版は私も初めてです。早速、google play でしらべて見るとちゃんと存在しました。また Ubuntu のソフトウエアセンターや synaptics で調べるとちゃんとありました。さらにUbuntu版のできクリック(マウスポインタを一定時間停止させると自動的にクリックする kmousetool)も存在することがわかりました。これはかなりの収穫です。

Andoroid 版のEVA Facial Mouse のリンクでGitHubにたどりつきました。ここで紹介動画やインストール関係のリンクや簡単な説明があります。このソフトの作者は Cesar Mauri さん、スペインvodaphoneのコンテストの二位を受賞したそうです。

このサイトをよく見ると、英語の他スペイン語、ドイツ語、フランス語、イタリア語に対応しています。さらにカタルニア語ガリシア語にも対応しているお国の事情がうかがわれます。何となく海外旅行気分です。

4 おわりに

もしインターネットがなかったらこんな捜し物はとてもできません。
またインターネットが使えると捜し物のやり方や勉強のやりかたがずいぶんかわりました。

まずキーワード。ものの名前、方法の名前、人名などキーワードになりそうな言葉に注意するようになりました。重要な言葉は暗記するなり、メモするなりしてなくさないように日常から注意するのが大事です。言葉さえわかれば意味は調べればわかります。また使いかたやなども簡単に調べられます。調べればわかるものは無理に覚える必要はありません。しかし最初の手がかりになる言葉がいい加減だと、つくづく苦労します。

また検索の際のキーワードの組み合わせ規則はしっかり覚えておく必要があります。(and検索 or検索 など)また今回紹介したように、一番目のキーワードで見つかった記事から二番目以降のキーワードを集めながら、徐々に範囲を絞り込んでいくやりかたも特によくわからない事柄を調べる際に役に立ちます。

また型番、品番、製品の正式名など一見無味乾燥なことばは、絞り込みを強力に進める有力なキーワードになります。ほとんど一発で見つかります。

また途中で見つけた興味あるサイトを丸ごとコピーする機能(アドオン)がブラウザにあると後で読み直す時にも便利です。しかし基本は文章を読む速さなのは変わりません。

さて次回の後半は、今回手に入れた eViacam を動かしてみます。

参考URL


2019/4/19 公開

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