映り込みの少ないタブレットを文書作りに使うとこんな感じ
液晶モニターには表面がつるつるで鏡のように映る光沢液晶(グレア液晶)と表面が若干くもりガラスのように半透明で反射しにくい非光沢液晶(ノングレア液晶)があります。光沢液晶は発色がきれいで表現がゆたかな特徴がありテレビなどに多く採用されています。また非光沢液晶は映り込みが少ないので長時間の使用で目の疲労が少なく、事務作業に適していると言われています。パソコンでは光沢のモデルと非光沢のモデルの両方があります。
タブレットやスマホではほとんどが光沢液晶で、非光沢がほしい場合には普通液晶表面に特殊フィルムを貼って対策するのがよく行われています。
上の写真のようにタブレットを縦置きにすると文章が何行も表示できます。またbluetoothのキーボードを使用すると入力が円滑になります。またタブレットは軽く持ち運びしやすく、バッテリで長い時間使用でき、音がほとんどなく静かで、フォント表示がきれいで、狭い机でも作業しやすいので文章作成になかなか重宝しています。
ところが私は光沢液晶が大の苦手です。以前よく考えずに光沢液晶のパソコンを買ったのですが、ついにがまんできず家族にあげたことがあります。ところが今回はタブレットの使いやすさが光沢液晶の使いにくさに勝ってしましました。このようないきさつでタブレットの光沢液晶を何とかしたいと考えるようになりました。
まず液晶の表面に反射をおさえる市販のフィルムを貼ってみました。ところがパッケージの能書きにもかかわらず期待した結果は得られませんでした。またフィルムの下に気泡が入りこみ、なかなかうまく取り除けないのです。しばらくはこの見えにくさをがまんして使っていましたがついにフィルムなしの方がまだましとはぎ取ってしまいました。
このような場面であきらめが悪いのはいつものことで、こうなったら市販品に頼らず、自力本願で解決を図ることにしました。つまるところくもりガラス状の均一な凸凹をフィルム上に作ればいいわけです。
まずOHPシートの表面を番手の高い耐水ペーパーでこすってみましたが傷は不均一になりました。続いてかなり粒子の細かい研磨剤も試してみましたが、どうやら満足いくレベルの非光沢は手作業では無理なようです。
手作りの限界と量産品の品質の均一さを再確認したあとは、全く別の用途で作られた製品で今回の目的の非光沢を実現しているものを探し始めました。とはいえこの間特に何かするわけでもなく、意識することもなく半分忘れかけて何ヶ月か経ちました。
ある日、書類整理をしていました。そのとき、ふと見るとプラスチック製の書類フォルダの外側は光沢でも内側は非光沢なことに気がつきました。これであの微妙な半透明を実現しているようです。なかなか凝った作りです。
さっそく無色なフォルダをほどよい大きさに切って、非光沢面を上にしてタブレットにのせてみました。映り込みはかなり減りほぼ満足いくレベルです。何しろ気泡が入ることもありません。さらにタッチパネルを試して見るとほとんど機能が変わらず使用に問題はありませんでした。
はじめ貼り付けは、両面テープで試してみました。しかし手間がかかるわりに見栄えが悪かったので、結局セロテープで単純に貼っています。液晶表面に指紋もつきませんし、耐久性はかなりあるようです。またフォルダの製品ごとに表面の様子には微妙に違いがある様です。
肝心の目の疲労ですが、個人的には満足いくレベルになっています。これを誰もが納得いく方法で計測するのも学問的にはおもしろいのですが、まあ今回はこの文章をお読みのみなさんにそれぞれ試していただき、判断していただくのがよろしいとおもいます。
さらに、日常的に光沢液晶モニタを見ている患者さん(およびそのほかの人々)がおられたら尋ねてみてください。
『光沢液晶をお使いですが、目が疲れませんか?』
最後に、書類フォルダを作っている人へ:こんな用途もなかなかいいですよ。本気出して作ったらすごいのができるのではないでしょうか。
特にありません
2018/09/14 公開
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