ケアコム社のナースコールシステムの中継コンセントには、
このふたまたコネクタが使用できます。
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三和コネクタ研究所 メタコン プラグ SCK-1402-P 1コ
中継メタコン SCK-1402-BA 2コ
自分で作れば、約2500円でできます。
ケーブルは太めにして頑丈にすると、断線破損など事故を防止できます。
ケアコム社のマルチケアコールを使い呼気スイッチでナースコールを操作している患者さんを担当しています。最近上肢機能が改善してきたので、ロッド型スイッチを手で操作するように変更してベッド周りの配線をスッキリできないかと考えています。
左 マルチケアコール 右 ロッド型スイッチ
マルチケアコールにはACアダプタが必要です
しかしご本人にこの話をすると不安がり、今できている方法や道具を変えることをいやがります。私なりに丁寧に説明しているのですがなかなかわかってもらえません。
どうしたらいいでしょうか??
気持ちにゆとりが少なくなるとこのようなことになりがちです。想像するにこの患者さんは長い間ナースコールがうまく使えず、さぞかし苦労されたのでしょう。そこでマルチケアコールを勧められ使ってみたらできるようになって、ようやくひと安心といったところでしょうか。
ところが作業療法士のあなたとしては、更に改善が期待できるのではないかと次の挑戦をしたい気持ちになった。それもわかります。
さてこのような場合にはどうしたらいいでしょう。じつはこんな場合によくやる方法があります。
まずマルチケアコールもロッド型スイッチのどちらも両方同時に使えるように準備します。当院の場合、このページのトップ画像のようなふたまたコネクタを使います。マルチケアコールは呼気で使いますから顔の近くに、ロッド型は手元に配置します。設置場所はやや増えます。
そしてナースコールを鳴らしたいとき、ご本人にこっちを使ったりあっちをつかったりしてもらえるようにします。このやり方ならもし新しく使い始めたロッド型スイッチがうまくできなくても、もう片方のこれまでうまく使えているマルチケアコールがあるから安心して挑戦できます。この『安心』が大事です。
しばらくご自分なりに挑戦していただきましょう。これでうまくできるようになればそれが『自信』になります。必要に応じてアドバイスや助力などします。これでうまくできれば『信頼』につながります。
以上がうまくいくと、ナースコールはいくらか『改善』してさらに『自信』と『信頼』ができます。これらを活かして次に進まれるのがよろしいと思います。
今回のご相談はナースコール操作スイッチについてでしたが、よく似た事は道具や方法や手順を変更する場面でありがちです。こっちにしようかあっちにしようかという場面や、もうひとがんばりして改善しようとする場面では、誰もが気弱になりがちです。 そんな時に頼りになるのが、『自信』と『信頼』です。しかしこれらを作り上げるのは簡単ではありません。
対応する人の肩書や外見や言葉遣いが立派ならいくらかは効果が期待できますが、やはりいくつかの小さな挑戦をとおして、『自信』と『信頼』を積み重ねていくのが大切だと思います。
ナースコールスイッチは不自由を持つ人の初期の挑戦としては比較的取り組みやすいテーマですので、いろいろな下準備や仕込みをしてうまくできると、あとあとの仕事を円滑に進めることができるでしょう。
患者さんの物の考え方にはいろいろあります。 ある人はひとつのスイッチが使えるからもうこれでいいと考えるかもしれません。またある人は、ふたつのスイッチが使えればさらにもっといいと考えるかもしれません。できるならば前向きに可能性に挑戦して頂きたいのですが、なかにはそれがむつかしいひともいます。
その方の気持ちにそって物事をすすめることが大切です。
『あなたはこうしてはいけない。こうしなければならない。』 不自由を持つ人たちは、こんなセリフで気持ちがすっかり縮んでいます。 元気に生きていくためには誰にもこれはあることです。
しかし技術のことなら話が少し違います。 「あなたはこっちができます。またあっちもできます。自分で好きな方を選べます。さあどっちにしましょうか?」こんなことができないわけでもありません。
自分で考え自分で決めることはその人の自立につながると考えられています。 その人の不自由をへらし自由をふやす工夫を重ねることで、 その人の自立に少しづつ近づいていくことができるでしょう。
アイデアの多くは、実際やってみると思ったようにはいきません。 ところが中には、すぐうまくいくものもあります。また予想と違う何かが見つかることもあります。どうなるかは実際やってみるまでわかりません。 作って試して考えて改善、作って試して考えて改善を繰り返さないとアイデアは洗練されません。
ですからアイデアを考えつくのも大切ですが、実際に作ってやってみることも大切です。両方ないと前に進みません。 ただしモノ作りには普通お金がかかりますので、十分準備するかお金のあまりかからない方法を考えておくとよいでしょう。
『こんな福祉用具を作ったのですが、これが役に立つでしょうか?』 という相談も来ます。モノ作りが先でアイデアが後だとこれもなかなか前に進みません。 むつかしいものです。
2023/10/06 公開
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