おもちゃの改造について
当センター内には小児を対象とした施設もあります.
ある日,こわれたおもちゃを修理したことから,小児の訓練におもちゃを使っていることを知りました.その後いろいろと話を聞くと,
- 購入したままのおもちゃで遊べない子供が多い.
- それらの子供の何人かは,全くスイッチ操作ができないわけではない.使えるスイッチがおもちゃについていないだけ.
- そのおもちゃに専用のスイッチをつけてしまうとほかの子供の訓練に使い回しができない.
- 必要性は感じているがこれらの施設のスタッフではやり方がわからない.
- おもちゃを使った訓練は,決して遊びや娯楽のみを指向していない.
- しかし,おもちゃでの訓練成果の次につながる方向性がまだ明確にできていない.
などがわかってきました.また当方は,
- 高校生レベルの知識をもとに
- 多少,練習をして簡単な技能を身につけ
- 現場ですぐに,そして幅広く役に立つもの作りができる
教材を探していました.
双方のギャップを埋めるためには,実際に役に立つものを,簡単に作れることを証明する必要がありました.そこであいた時間を使って少しずつ使い,いくつかのおもちゃを改造し,実際に訓練に使ってもらったところ一応の評価がえられました.ものを作る技能は,現場で必要とされて,かつ現状では足りないと思われます.ものを一から作ることは,それなりに大変な作業です.しかしおもちゃなどの既存の製品の改造は,費用などの面から,初めての方にも取り組みやすいテーマです.腕におぼえのある方,プラスアルファの何かを求めている方,取り組んでみられてはいかがでしょうか?
紹介するにあたり,使用した部品の購入ルートなどの情報をできるだけ詳しく記しました.しかし,はんだ付けや,穴あけなどの工作についてはほとんど記述しませんでした.(工作入門を始めました)これらの事柄は,文章で表現するのが難しく,また量も多くなるからです.また基本的に「習うより慣れろ」の分野でもあると考えるからです.高価な機器や,万が一の危険を伴う機器では,「慣れろ」というわけにもいきませんが,おもちゃならたかが知れています.
「子供を相手にするなら,がんばらないといけないよ.だってすぐ飽きちゃうから」
かつてリハ工学の先輩が教えてくれました.いつまでもおもちゃでは,やはりやがて飽きるでしょう.
おもちゃを操作している同じ能力を使って,次の何か魅力的なものにつないでいく必要があります.おそらくその一つは,パソコンをはじめとする情報機器,そしてインターネットではないかと考えています.もしかしたら,移動のための乗り物かも知れません.注意 一般的にここで紹介する,おもちゃの改造などを行うと,メーカの保障の対象から外れます.(保障期間内であっても,修理してもらえなくなります)リスクは各自が負担してください.
03/05/15 公開研究企画課リハ工学科にもどる