タブレットやスマホは薄いボディのなかにこれまた一段と薄くそして軽いリチウムイオンバッテリが入っています。このバッテリがなかなか優秀です。一昔前のノートパソコンでは、じきにバッテリがもたなくなって、ついには予備をいくつか持ち歩くことになりましたが、こんなのはもう昔話になりました。
ところがそんなバッテリでもいつか寿命がきます。ついうっかり起動したまま忘れてしまうとすっかりバッテリが空になってしまいます。ノートパソコンではこんな場合ACアダプタを接続するとバッテリが空でも(外してあっても)起動させることできます。それではと、タブレットやスマホに充電機をつないで電源スイッチをおして起動しようとしても、タブレットは起動できないことがよくあります。
『こりゃあ参ったな。壊れたのかな?』
今回はそんな話です。
パソコンでもスマホやタブレットでも起動するときにはある程度の電力が必要です。しかし一旦起動するとその後は、使用するアプリによってそれなりに電力は消費しますが、画面が暗くなって音も出ていない状態で放置したような場合には少ない消費電力で動き続け、結果的にとことんバッテリを消費して止まります。
手元のノートパソコンのACアダプタをみると、50Wから70Wの電力を出すようです。しかしスマホやタブレットの充電によく使うusbは500mAの5V ですから2.5Wしか電力がありません。これだけでは起動は難しいのです。まるでバッテリが弱った自動車のエンジンがなかなかかからないのと似ています。そんなときはほかの車のバッテリとつないで充電しますが、これと同じくスマホやタブレットのバッテリが充電されて起動に必要な電力が得られるまで待つしかありません。2時間か3時間、もしかしたらそれ以上待つかもしれません。
原理的にはもっと大きな電力で充電すれば待ち時間は短くなります。これは急速充電とか呼ばれています。しかし充電が速いほどバッテリの温度が上がり寿命が短くなると一般に言われています。さらに運が悪ければ火災が発生してあなたの寿命も... まあバッテリは危険物の一種です。甘く見ないほうがいいです。昔私も軽いやけどをして思い知りました。しかし過度に恐れていては生活に差し障ります。正しい理解と適切な取り扱いでほどよく注意するのが大切です。ニュースでよくきくあれもこれも基本は同じです。
ある日モニターさんのタブレットが、そして翌日は当院のえらい人のタブレットも相次いでこのような起動不調に陥り当方に持ち込まれました。どちらも充電器を接続してしばらくしたら元のように起動して使える様になりました。原因はバッテリの過放電(つまり使いすぎ)だったようです。
タネ明かしするとこれだけの簡単なお話なんですが、困っている人はかなり青くなってしまうようです。もしかしてあなたのお近くにもそんな人いるかもしれません。どうかこれを参考にしていただき、力になってあげてください。
原理や仕組みを理解すれば、困りごとも解決に近づけます。暗記やうろ覚えでは危ないことも起きかねません。このような知識や技能がもっと広がってほしいものです。
2021/04/16 公開
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