The MDN Web Docs teamのサンプルVoice-change-o-matic を参考にしました。
と言うより笑えるイタズラです。みんなで遊んでください。
こどもがすきなものって何があるでしょう?
まず一番目は、あまいおかし。おとうさんと遊ぶのも大好きかもしれません。 つぎはテレビなど面白いもの。おもちゃやゲームなど楽しいことでしょうか。 だからおかあさんがいつも見ているスマホやタブレットにも興味津々で、チャンスがあればこっそり自分でもやりたいと常々思っています。
こども番組の制作者はこのあたりをよくわかっていますので、愉快な音楽や踊り、そしてアニメーションが盛りだくさんです。特にアニメーションは視覚的に強くひきつける力があります。また電子音などの効果音が加わるといっそう強くまるでテレビに吸い込まれそうになることもあります。
ですからこどもたちの興味や関心を引くために、アニメーションや効果音を利用したいと思う人は少なくありません。例えばこども向け商品のコマーシャルにはアニメーションと効果音がたくさん使われていて、一見すると番組とコマーシャルの見分けがつきにくいほどです。
また多くの小児科診察室には、アンパンマンをはじめとしたキャラクターがいろいろ準備されいて、業務の円滑な遂行のために利用されているのは皆さんご存知の通りです。当院でも同じです。
このほかの目的や場面でも、こどもたちの気をひこうとする『下心』のある大人はいます。かく言う私もそのひとりですが、この文章をお読みなっている方のなかにもそのような方が少なくないと思います。
ところがアニメーションも効果音も、作るにはかなり手間がかかります。あるアニメ映画のエンドロールにたくさん(!)のアニメーターの名前(女性が多いですね)を見たことがあります。こんなに大勢の人たちが作っているのかと驚きました。また実際に自分で簡単なパラパラマンガを作ってみても我慢と根気が必要だとよくわかりました。 こうなるとおいそれと手を出すわけにはいきません。
しかし 特に難しい事例をなんとかしたい場合や、 従来のやり方ではあまり期待できない場合には、 それでも自分でなんとかしたいこともあります。
そんなときに、アニメや効果音を手作りで自由に作れないものでしょうか?
運良く『自分の望むように作ってくれる誰か』と出会うことはほとんど期待できません。 また自分の時間で、自分のペースでやりたいなら、結局自分ひとりでやるしかありません。また費用を節約するためには手持ちの道具を利用したり、知識も技能もネットから仕入れて学習や練習もすることになるでしょう。 苦労はあるでしょうが、これならほかのひとに合わせたり、衝突したりするといった人間関係の苦労は少なくなるでしょう。またもしうまくいかなくても、自分の時間と努力が水の泡になるだけです。こんなことは世間ではよくあることです。 それにもしこれで自由に手作りできたら、新しい展望と可能性がひらけるかもしれません。リスクも希望も可能性もあるかなり健全な生き方だと思います。
さてしかし本当に可能性はあるのでしょうか?
ということで、これまでおもちゃの素材としてアニメーション作りに取り組んできました。 これまでに GIFアニメーションでしろいいぬシリーズを CSSアニメーションでくるくる回る顔を JavaScriptのcanvas機能を利用したアニメーションでベッドメリー を作りに取り組んできました。
その結果、この程度の小規模なものなら個人的に作れることがわかりました。もちろん個人差はありますので、誰でも簡単にできるわけではありません。(もしそんなことになったらアニメーションの仕事をしている人たちは大変ですね。つまり仕事が楽になると同時に収入もがくんと減ってみんな真っ青でしょう。誰でも簡単にできるようになるとその仕事はだんだん消えていくのです。ところでみなさんの街には写真屋さんはありますか?)
さて、いろいろがんばってだんだんできることが増えるとアイデアも広がってきます。 『あれ』と『これ』を組み合わせれば『それ』もできるといった具合に技能や知識の組み合わせでさらにできることが増えます。またできることとできないことの境目がわかりますから、『絵空事のアイデア』に惑わされることが少なくなります。 だんだんできることが増えてくると、それだけ自由に物事を考えられるようになってきます。あれもだめこれもだめでは気持ちも苦しく自由がありませんが、あれもこれもやろうと思えばできるとなると希望や自由が増えてきます。それでも苦労はつきものですが、あとはその人次第で他の人にはできないことができるようになります。
そこで今回は方針を少し変えて、音(声を含む)について考えて見ることにして、おもしろい音つくりや音で楽しむ(?)取り組みをすることにしました。
これまで 障害をもつこどもたちのためのおもちゃ 15 サウンドスイッチこえをかけるとへんじするしろいいぬでは、アニメーションを声で操作する、サウンドスイッチをP5.JSを使って作りました。 しかしこれを動かすには、決められたパターンで声(音)を出す必要があり、このためにはある程度の理解力や記憶力、そして声や音をタイミングよくだせる能力も必要になります。つまりややバリアがあります。
さて今回は、このバリアをぐっと低くして、声や音を出すとおもしろいことがおきるおもちゃをつくりたいと考えました。
そのためには音の扱い方について基本の勉強が必要です。そこでこれまで同じく、使用する言語、JavaScriptで音に関係した機能を持つ、WebAudioAPIの勉強に取り組みました。 この方面の勉強を進めていくと、電子音楽や音響効果などの話がつぎつぎに出てきます。これから先々どうなるのかと私もやや不安になりました。
しかし、あるコンサートホールや聖堂の響きを楽器の音や声楽の声に加えるといった技術的な話は大変おもしろく、プログラムでのそれらの実現手段も興味を惹かれるものでした。しかし原理や方法について調べていくと、アルゴリズムといくつかの数値の微妙な調整によって、目的の効果が実現されることがわかりました。 そして同じ技術を違う目的(=こどものおもちゃ)のために使用し真面目に調整していけば(=イタズラすれば)面白そうなものも作れることがわかってきました。私の目的はこちらです。こうなれば勉強の面白さは出てくるのです。今回はこれに時間がかかりました。しかし時間はかかっても、基本を勉強するとやはりおもしろいアイデアも出てくるようです。
例えば、エコーを追加する方法にイタズラして、音の遅れ時間を3秒ほどにし、減衰をごく小さくして、残りの細かい部分を調整すると、やまびこが10回以上返ってくる(ような)ものができました。つまりマイクに向かって一言何か言うと、10倍になって戻ってきます。また途中でマイクに入った音は、新しいやまびこになってこれに加わり繰り返し返ってきます。声以外の音でも同じことが起きます。これはなかなかおもしろい。
まじめな人がまじめに取り組んだことをまじめに勉強して、それをおふざけに使用したらこのようなものができました。
1 ブラウザは、パソコンの場合はchromeがfirefoxかsafariをお使いください。
またスマホやタブレットの場合はfirefoxかsafariをお使いください。chromeでは動きません。
2 マイクとスピーカの音量を確認してください。
3 起動したら、画面をクリックしてください。
もし『マイクの使用を許可しますか?』と聞かれたら、OKをクリックしてください
これではじまります。
声や音を出してください。くりかえしくりかえし音がでます。
お話しているとだんだん元気がなくなって声も小さくなるひとがいます。どきどきしたり恥ずかしかったりするのでしょうか?
このおもちゃでは、話をしているのも自分、聞いているのも自分ですからちっとも恥ずかしくありません。どきどきもしません。むつかしい話もありません。(多分ね)これで声をだしてあそんだり、お話したりしてみましょう。
もちろんこのおもちゃはどんな人でも、どんな動物でも、おたくのワンちゃんでも遊べます。だれがどのように遊んでもちっとも構いません。いろいろ工夫して楽しんでください。
ただし時々おかしな音がどんどん大きくなって止まらなくなることもあります。そんなときはスピーカーの音量を少し下げてください。じきに静かになります。
テニスの練習相手がいないときや練習場所がとれないときに、壁に向かってボールを打って跳ね返ったボールをまた打ちかえす練習をします。これを『壁打ち』などと呼んだりします。野球のキャッチボールでも同じような練習をします。基礎練習を自分一人でやるためにはこんな工夫もできるのです。また練習相手がうますぎたりすると気持ちがしぼんでしまうこともありますね。
このおもちゃは、おはなしの『壁打ち』練習用に作ってみました。
相手がいると緊張してしまうひとも、自分ひとりなら恥ずかしくないし、自分が苦手な話や難しい話はそもそもやりませんから気楽に練習できます。そんな効果があるかもしれないし、ないかもしれません。なにしろ作ったばかりのおもちゃですから私にもまだよくわかりません。
また机をたたいて音をだして、音を順々に重ねていくと、なんだか音楽をやっているみたいになります。ひとりなのにみんなでやっているみたいです。
まあこれもおもちゃですから、みなさんが自由に工夫して色々と楽しんでいただくことが何よりだと思います。
2023/05/26 公開
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