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大きな人には大きな車いす

Regency XL 2000 Bariatric Wheelchair with 850-pound Weight Limit

耐荷重850ポンド(約385kg)$2,141.20

0 はじめに

福祉用具は使う人に合ったものを選んで使いましょう。 車いすの場合はまずその人の体格に合った大きさの車いすを提供するのが基本です。 世の中に上の写真のような大きな車いすが存在するのは、それを必要とする大きな人が存在するからです。それにしても大きいですね。まるでベンチに見えます。

さて、 当院では大人の方には 『車いすメンテナンス カイゼン4 座面高さの変更』で紹介しているように4種類のサイズの車いすを用意しています。またこどもさんにはもっと小さいサイズの車いすを用意しています。

また少し前までは、さらに大きな体格の患者さんはときどきお見えになるくらいでした。しかしその後徐々に増えまして最近は年に数例以上の大きな方々が当院に入院されるようになりました。昨年はこのような例が続いたため、やりくりがつかなくなりましたので大きな人用の車いすを増やすことにしました。 そして年度内にも大きな患者さんをお迎えする予定があります。そこで今回は、当院の「大きな人用の車いす」をご紹介します。

1 160kgまで利用可能

meyra

2007年に購入した、Meyra社のEurochairです。上限は160kg、座幅は50cmです。これまで大勢の大きな方々に利用してもらいました。寸法的にこれより大きなひとでもお肉をなんとかすれば座面に収まりました。この車いすはアームサポートの跳ね上げやフットサポートのスイングアウェイ、取り外しが可能です。大きな人を介護するにはこれらの機能は特に必要性が高くなります。この車いすはドイツから輸入しましたがよく見るとMade in China でした。現在のMeyra社はEurochairIIシリーズで更に座幅の大きい製品も扱っています。(文末の参考URLをご覧ください)

2 130kgまで利用可能

miki,kjp-5

こちらは昨年(2021年)購入した、ミキ社のKJP-5です。上限は130kg、座幅は48cmから52cmで可変。この車いすもアームサポートの跳ね上げやフットサポートのスイングアウェイ、取り外しが可能です。日本の会社ですので普通に購入できます。新しいモデルですので各所に改善が加えられています。 また、2010年に購入した同じミキ社のKJP-4もあります。上限は130kg、座幅は45cmです。(文末の参考URLをご覧ください)

当院では大きな患者さん用にこの3台を用意しています。

3 大きなひとについて

「体重がxxkgで大きな人」といっても実際お会いしてみたらスポーツマンタイプの引き締まった体型で普通の車いすで問題なかった人もいました。また反対に体重の割に大きなひとだった事もありました。体重や身長などの数字は伝えやすいのですが実体を十分表現できないことがあります。また性別や年齢によっても体重では測り(図り)きれないことがあります。結局のところは会ってみないとわかりません。

また単純に大きな人だから大きな車いすを使うと困ったこともあります。例えばエレベータやトイレなど狭いところでターンに苦労します。ベッドにアプローチする際にいまいち近づけないこともあります。介助者の入る余地がとりにくくなることもあります。乗っているときはいいけれど移乗に困ることもあります。狭いいなか道を大型トラックで通行するように気を遣いイライラもつのります。これらはやってみないとわからないことばかりです。ですのでしばらく使用したあとで変更が必要なこともあります。

大きな患者さんではさらに介護や訓練にも配慮が必要です。スタッフがみんなで力を合わせてよいしょよいしょなどとやっている様子はまるでリリパットのお話のようです。

またベッドのついても大きな人特有の事情がありますがこれはまた別の機会にお話ししようと思います。

4 おわりに

当院では現状でこれら3台を使用して大きな患者さんに対応できています。このさきもうしばらくはこの3台体制でなんとか行けるのではないと思います。しかし深夜のスーパーマーケットなどで手押しワゴンに山のように食料品を積み上げている買い物のお客さんそのご家族を見かけるとき、(そんな経験はみなさんにありませんか?)ふと心配になることもあります。

いくら大きな車いすがあっても、もうそれだけでは十分ではない時代になりつつあるのかもしれません。

参考URL


2022/03/28 公開

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