あいさつ文字盤で日常会話もスムーズに
いつもいつもお世話になっている訪問介護の皆さんにひとことお礼を言いたいけれど、私がお礼のことばを入力するのが遅くて、そして皆さんもお忙しいし、感謝の気持ちを伝えられないのがかなしいのです。なんとかなりませんか。
そこでエクセルのセルに文字列を入れそこから音声ファイルへリンクを貼り付け、クリックすると声が出る。こんな機能の『しゃべる文字盤』を作ったのはもう10年前のことです。
入浴介護のあとご家族にパソッテルに装着したパソコンを目のまえに移動してもらい、手をタッチパッドに乗せてもらって操作して何秒かで合成音声がお礼のことばをしゃべり始めました。帰りかけていた訪問介護の皆さんはこの声を聞いてまたベッドの周りにもどってきてくれました。そしておひとりおひとりに日頃のお礼を伝えることができました。
日常生活でよく使うことばをいいタイミングで使うことができると、コミュニケーションの質が上がることがあります。略してQOC。なにより自然に近いのがいいです。この自然さを強く求める人も少なくありません。
今回はこれまでのひらがな、カタカナ文字盤に加えてあいさつ文字盤(このページトップ画面)とからだ文字盤を追加しました。使用方法はすこし複雑になりましたがこのような文字盤を求める人には習得していただきたいものです。
またからだ文字盤は、自分の不調を伝える際により少ない手数で表現できるように作られたものです。これを使えば苦しい時に50音文字盤を使わなくてすみます。
前回ご紹介した最も機能がたくさんついたモデルにさらに今回の機能を追加しお使いになるモニターにあわせて3種類準備しました。
50音文字盤 四種類文字盤切り替え 10種類の文書切り替え、文書保存機能付き 4:3モニター用
50音文字盤 四種類文字盤切り替え 10種類の文書切り替え、文書保存機能付き 16:9ワイドモニター用
50音文字盤 四種類文字盤切り替え 10種類の文書切り替え、文書保存機能付き さらにワイド用
文字盤は、ひらがな→カタカナ→あいさつ→からだ→ひらがなの順番で切り替わります。このほかの文書切り替え機能や自動保存機能は従来と同じです。 ここまで作成したWeb文字盤は、ひらがながわかる人から漢字がなくてもいい人までを対象としていますので漢字は使えません。それらが必要な方はここまでお使いになった入力装置や操作技能を生かしてパソコンをお使いになることをお勧めします。
Web文字盤をつくるにあたり、ひらがなオンリーにしました。漢字機能はかなり高度ですし、利用も限られます。また使いこなせない機能は邪魔になることもよくあります。ご高齢の方では漢字が見えない、読めない、変換できないこともよくあります。
Web文字盤は、htmlとcssとJavaScriptで作りました。つまりホームページと同じです。ホームページのように多種多様なコミュニケーションエイドをつくる方法ができたのですから、高性能一点豪華主義のソフトにユーザをはめ込むのではなく、対象をしぼりつかう人に合わせた多種多様なコミュニケーションエイドがこれからたくさん作られることを期待したいと思います。
さて、ひらがながまだわからない、またはひらがながもうわからないひとはどうしたらいいでしょう。どちらも当院にはかなりおられますので、考えていく必要があると思います。
2019/07/12 公開
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